アシスト(ジャパン)の会事務局長 福岡政行先生のお話

25今回の研究リポートにご紹介致しますのは、アジアの恵まれない子供達のサポートを長年続けて来られました福岡政行先生です。穏和なお顔立ちからは想像の出来ないシャープな切り口で辛口の政治評論家としてお馴染みですね。

これまでに阪神淡路大震災被害者や三宅島被災者への支援をしたり、カンボジアの子供達への支援活動等をゼミの学生達と共に行っていると聞きました。そして現在、『アシスト(ジャパン)の会』の事務局長を務めておられます。そのアシストの会の活動を中心に、今までの事や、これからのボランティア活動のお話を伺っていきたいと思います。


── まずは『アシストの会』についてお教え下さい。

福岡 「アシストの会はですね、今から6年前ですから、1998年に設立しました。もともとは三年B組金八先生の脚本家の小山内美江子先生が13年前にあった湾岸戦争の時に瀬戸内寂聴先生と一緒にクルドの少数民族の所へ行ったと新聞やテレビで見たんですね。で、ある時講演で一緒になったんですよ。そして「協力します」って言ってたんですね。」

── それがアシストの会なんですか?

福岡 「いやいや、違いますよ。アシストの会ではないです。その会はカンボジアに小学校を作る会みたいなもので、会長が小山内先生で、副会長が俳優の二谷英明さん、私が事務局長をやってました。そして形ができ、スタッフも揃い、落ち着いたので身をひこうかなと思ったんです。しばらくは理事という形で在籍はしていたのですが。」

── その会がきっかけでアシストの会を設立されたということですね。

福岡 「そうですね。小山内先生の会から身をひいてしばらくしたら、ホームレスの子供達のケアをしたいという人がいましてね。話を聞くと、その子供達が住んでいる場所がゴミ山の横なんですよ。そこを立ち退かなければならないと要求されたみたいで、その土地を買わなきゃいけないと・・・。みんなゴミ山で暮らしていますから、そこを立ち退くと生活ができなくなるんですね。で、その土地を購入できないかと関係者が来たんです。何とかならないかと。300万円位かかると言ったかなぁ。それじゃぁ貸しましょうと。でも援助シンドロームといいまして、お金をあげることが当たり前になっても困りますから、長期で無利子、無催促で貸しましょうということになりました。」

── 先生はリッチですね(笑)。

福岡 「そんなことないですよ。たまたま集めてもってました。そんな折に筑紫哲也さんが、アンコールワットに小児病院を作るとおっしゃって。」

── アンコールワットに小児病院ですか?

福岡 「ニューヨークのカメラマンがアンコールワットの夕陽を撮っていた時に、後ろにホームレスの子供達といいますかストリートチルドレンがいたらしく、芸術だけでいいのかと感じたみたいなんです。それでアンコールワットに病院をつくりたいと思ったらしいんですね。それを九州の方が聞いたみたいで。その方は御主人を亡くされていまして、遺産を相続されていてね・・・。私が持っているより有効に使って頂けるという趣旨でご寄付をして下さったんです。」

── それはすごいチャーミングなお話ですね。

福岡 「それで病院を5つ建てました。そして、現地の看護士達を自立させようと。筑紫さんは「これは自立支援だよ。でもやりだしたからには10年はやらなければいけないよ」と言うんですね。じゃあと言うことで、めったに団体みたいなのに関わらない筑紫さんが副代表ってことで始まりました。」

── それがアシストの会ということですね。

福岡 「そうです。ボランティア活動といいますか、こういったことは誰でも1回や2回はできるものなんですが、それが3回4回と続けるとなるとなかなかできることではありませんね。」

── でも先生は長い間、活動されてますよね。

福岡 「ですから私は無理をせず、時間がある時にすることにしています。それが大事なんですよ。」

── 名前の由来はどこからきているのですか?

福岡 「基本概念は自立を支援するということ。それでアシストですね。アシスト(ジャパン)の会。動き出したのは確か5~6年前ですかね。」

── 他にどのような活動をされているのですか?

23福岡 「3年前にエイズで出来た子供達が捨てられるという話が来まして。結構な人数だったんです。そのうちの20人位かな・・・。面倒見てくれないかといくつかのボランティア団体からありましてね。ですから、今現在の主なボランティア活動は3つですかね。ホームレスの子供達の自立支援、アンコールワットの小児病院とエイズの子供達の支援、キッズケアーセンター(KCC)。この3つえお主に活動しています。」

── 私も知り合いにボランティア活動されている方がいるんです。西川芳樹さんという姫路市で内科医をされている先生なのですが、『アジアの家』という市民団体を主催されていまして、その方もタイで貧困に苦しむ人々を支援してるんです。その中にエイズで苦しんでいる子供達が大勢いるんですよ。ですから先生のお話をお聞きしていますと、ぜひ『アジアの家』の西川先生に会っていただきたいですね。

福岡 「日本ではなかなかボランティアが浸透していないと思ってましたが。そんなことないんですね。イラクの支援活動の件でも今の年輩の人達は『若い人はダメだ』と言われてますが10%位はちゃんとした気持ちを持ってますよ。そういった学生達を自衛隊の変わりに1年間イラクへ行けと、単位は認めてあげるからといったらいくでしょう。そうすると本来の支援活動にもつながると思うんですけどね。大変なことでしょうけど。」

── 今後の活動のご予定は?

福岡 「今までやってきたことを継続することですね。あと、海外では当たり前の行為なんですけど。日本ではボランティアをやっていることが、売名行為じゃないかと言われますね。それと税制上の控除が欲しいです。アメリカのNPOは税金的に控除され、優遇されてますから、給料が少なくてもボランティアができる状態にありますから。ですから早く日本も海外と同じようになってもらいたいですね。あっ、それと6月12日に関西でチャリティコンペをする予定があります。これからはこういったこともやっていきたいですね。」

── そうですね。日本の場合はボランティア意識というものがまだまだ浸透していませんよね。ごく自然にボランティアだできるように意識を浸透させなければいけませんね。それとコンペの方、成功を祈ってます。本日はお忙しい中、有難う御座いました。


福岡先生のお話をお聞きしていますと共感できるところが沢山あります。日本の場合、ボランティアというと気を張ってするという感覚や、ともすれば売名行為と受け止められがちです。私はボランティアという言葉そのものにも特別な行動ではなく、ごく自然な、当たり前の行動であると社会が早く理解してもらえるような時代になればと思います。それと、ボランティアは他人に迷惑をかけない自己責任の上でなりたたないと、ボランティアではなくなってしまいます。現在、イラクでは復興支援作業が進められています。今すぐは危険ですが、時間を経て安全な状況が確認できれば、私達日本人も国際社会の一員として何か支援できることがあれば、支援するのも大切なことだと思います。そしてまた、こういったボランティア活動に御協力頂けるようにお願いしていきたいと考えております。